スペイン留学のウソホント
    ESTUDIAR ESPAN~OL EN ESPAN~A


 このシリーズの前回では、「スペイン留学心構え編、生活編」ということで、まずスペインへの留学を考えている人へのちょっとしたアドバイスを書いてみた。今回は、留学の成功を左右する学校選びについてのコメントを述べてみたい。現在スペイン国内にある大学付属の外国人コース、私立語学学校は全部で180校以上もある。この中から本当に自分に語学学校を探し出すのは難しいこと。でもある程度自分の学校に対するニーズがはっきりとしていれば、だいたい2、3校ぐらいにすぐ絞られてくる。

近年の語学学校の傾向

 各地に語学学校が雨後の竹の子のように乱立し始めたのは約5〜6年程前のこと。夏期の外国人用コースを始める大学が多くなったし、今まで現地スペイン人対象の私立語学学校だった所が、外国人用スペイン語コースを始めるケースも急激に増えてきた。その為規模の大小、授業の質、宿泊施設の良否などについて、どの学校もまちまちで混沌とした状態が続いている。各学校間の競争はほとんど戦国時代状態に入り、最近それについていけなかった数多くの学校の倒産、閉鎖が相次いでいる。その一方でどんどん新しい学校ができているが、数が多いだけにトラブルも絶えない。中にはパンフレットがあるだけで実際には存在しない幽霊学校もあるし、また法外な授業料を請求しておきながら、教師はスペイン語を教えた経験もなく、昨日まで小学校の教師だった人だったり、小人数制をうたっている学校にいってみたら全校で生徒が4人しかおらず、めちゃくちゃなクラス編成で授業がすすめられたーなどのトラブル話は日常茶飯事で聞く。しかし一方では競争が激しい分、多校との差別化を図るために質の向上に努力している学校も増えてきた。バリエーションに富んだコース内容、課外活動やエクスカーションの充実、宿泊施設の厳しい管理、手頃な値段での空港出迎えサービスなど ソフト面での改革には目覚ましいものがある。校内新聞の発行、インターネット用パソコンの無料貸出、料理教室など各種文化講座の開講、今まで旅行会社にまかせっきりにしていたエクスカーションを学校が主催、教師同行で行うことなどが最近多くの学校で“流行っている”新しいサービスだ。

学校選びのためのポイント-そのウソホント

 まずは自分のニーズをはっきりさせるためのポイントは期間と時期、予算、そしてどの程度のスペイン語レベルまでに達したいかの3つになる。そして具体的な学校選びには地域、規模、日本人学生が多いか少ないか-とこの3つがポイントとなる。

●期間と時期について
 期間は多くの私立学校が最低2週間から受け付けており、それ以上は1週間単位の料金設定となっているので自由にプランをたてることができる。大学付属の外国人コースも最近多くなってきたが、夏期のみのコースを設けている大学が多いので注意。3ヵ月程度の短期留学を考えている人の選択肢は広いが、長期留学の場合は申込期間も慎重に行いたい。どの学校も滞在が長期になる程授業料の割引率が多くなるが、1度授業料を支払い、コースが開始してしまうと授業料は返ってこない。そのために最初から半年、1年といった長期間で申し込んだものの、後になって学校が気に入らないのに変えることができず、泣き寝入りになったケースは日本人留学生の間によくある。学生ビザ取得の際に最低必要な3ヵ月〜4ヵ月でまず試してみることをぜひお勧めしたい。 滞在時期についてはもう知られていることだが、夏期はどこの学校も休暇を利用してくる欧米人学生で溢れかえる、語学学校にとってはまさに“掻き入れ時”。それだけに校内も活気に溢れ、課外活動、エクスカーションの数もぐっと増える。しかし彼等はバカンスで来ているのだからもちろん学習意欲は低い。授業に出ない、また授業態度が悪い生徒が増え、校内は英語しか通用しなくなってしまう。自分もバカンスで来ているのなら彼等と充分楽しむことができるが、長期の方の場合、この時期は旅行に出る、取得時間数を少なくして他の勉強をするなどして気分転換を図った方が無難。スペインの太陽が照りつける中、ムキになって机にかじりついていてもラチがあかないのだから。

●予算について
 1日4時間授業のもっともスタンダードなコース1ヵ月の相場は私立の語学学校で53.000から60.000。マドリッド、バルセロナ、スペイン北部になると80.000から125.000ペセタと割高になる。以前は大学の外国人コースの方が安かったのが、ほとんど私立との価格差がなくなってきている。同じ都市にある語学学校を比較してみても価格差がかなりあるが、現状では“高い程サービス、質が良い”ということはない。価格の差が一番あらわれるのが校舎、課外活動の豊富さなどだが、先に述べたように学校間の競争が厳しくなっているため、この方面のサービスはどの学校も力を入れている。ということは高くてもたいしたサービスがないところもあれば、安くてもちゃんとした所もあるということ。また逆に授業料が安いと思って行ってみたら、教材を山のように買わされる、課外活動が何一つない、といったこともある。学校を選ぶときには何が料金に含まれているかということー教材、補習授業、課外活動などーをチェックしよう。(価格は98年度の価格)

●どんな勉強をしたいか
 これは漠然としたテーマながらも結構学校選びの時には重要なテーマとなってくる。大学の通年コースを修了したいという人であれば、10月に始まるそのコースの下準備に私立校に3ヵ月程通ってみるというのが標準のコースだろう。またDELEの資格試験合格を目標にする人ならば、5月、11月の試験日を考えた滞在を計画し、試験準備コースがしっかりした学校を選ぶべき。このコースは学校によって期間と価格がまちまちなのでよく比較してみよう。小規模の学校だとこのコースが無く、個人授業のようになってしまったり、経費削減のためか、違うレベルの試験を受ける人を一緒のクラスに入れられてしまう可能性があるので注意。

●どの地方に行くか
 スペインは地方色の豊かな国。その地方によって気候、文化、そして言葉もずいぶん違う。まずは学校を決めるより前に、各地の特色をよく調べてみよう。これはこれから数ヵ月なりお世話になる土地に対する最低限のエチケットだし、下調べの知識は後で必ず役に立つはずだ。調べる中で、海のある街、大学街、大都会など自分の好みに合いそうな、暮らしてみたいと思う街が見つかるはず。マドリッド、バルセロナ、サラマンカ、マラガ、そしてグラナダの5都市が語学学校が多くある、留学のポイントとなる街となっているが、ガリシア、アストゥリア、バスク、リオハ、カナリア諸島など実に数多くの地方に語学学校は点在している。

★言葉の違いについて
 カタルーニャ地方に行く方には、この土地が普通の人が日常生活でカタラン語を話す場所であるということをぜひ覚えておいて欲しい。語学学校ではスペイン語を教えるし、通常こちらが外国人でスペイン語を話すとあれば、むこうもスペイン語で返してくれるので問題はないが、カタルーニャ語というものが、日本の方言以上の意味を持っているということを意識して欲しい。 バスク地方で日常話されるバスク語は、挨拶、簡単な表現などになっており、会話100%がバスク語ということはほとんどない。町村の名を示す標識などはバスク語、またこの言葉を使用した文学作品、放送メディアなどもある。ガリシア地方の場合も似た状況にあると言ってよいだろう。アンダルシアの場合には発音の差に大きい特徴がある。

●学校の規模、日本人学生の有無
 大きい学校にするか、それとも小さい学校にするかは、それぞれにメリット、デメリットがあり、 その人の好みによるところが多い。例えば小規模の家庭的な学校というのが多くの日本人留学生の好みだが、(そのため、これが売りの学校は生徒が90%日本人だったりする)入ってみたら生徒は数人しかおらず、レベル分けができずに全然違うレベルの人と同じクラスに入れられてしまうことが非常に多くおこっている。課外活動、エクスカーションもなく、ビザのことなど一般の留学生が必要とする情報に疎い傾向がある。大きい学校というのも思ったとおり“置き去り”にされる可能性大だし、英語圏の生徒が多いと彼等中心に授業が進まれてしまうことなどある。また日本人学生の多い少ないといったことも同じこと。(ガイドブックなどにあるこのデータはまったく当てにならないので注意。日本人学生0人と書かれている所は翌年すぐ日本人100%になる)日本人が多い学校は先生が日本人の弱点をよく知っているので、それを重点的に教えてくれるし、なんといっても初めての留学には心強いものがある。しかしあたりまえのことだが会話のレベルアップの進度は遅くなるのは避けられないし、せっかく海外にきて日本人同士で固まるのも考えもの。また日本人がまったくいない所に行って右も左もわからず、パニックに陥ってしまう人もいる。精神論的になってしまうが、まずは自分の性格をよく 知ることが大切。

 最後に辛口のコメントを付け加えれば、学校はあくまで教育を提供する場所、外国人留学生を受けいれる受け皿でしかない。それだけに自分の留学生活に求めるものをすべて学校に求めてしまうのはどうだろうか。学校側は学習の環境を提供できるが、あなたの“すばらしい留学体験”までは保証できない。それを得ようとするのには、やはり自身の目的意識と行動力次第なのではないだろうか。