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人生の中でも、最もノスタルジーをもって想い出されるのが幼年時代というもの。この時代を占めるものは、最初の文字を、言葉を、数字を、そして笑いと涙を分けあった学校の友達や先生達の思い出ーしかしそれより何といっても、まったくの未知の領域である子供らの将来に、大人達が託す期待と希望だろう。喜びと感激に満ちた日々であると同時に、小さな不満や悩みを抱えた時代。大人達にはわからない、しかし彼等にとっては大切な何かを秘めた時期なのである。 自分の回りすべてに起こる新しい発見、世の中の出来事に対する様々な疑問ーこれらがこの時期の人生を作り上げるものであり、将来本人の人格を形成していく大切なもの。この時期の子供にとって、両親は最も大切な軸となるものだが、しかしそうなることは彼等両親にとってはそう簡単な仕事ではないー自分の子供の手をとって生きるということを1から教える…しかしどうやって彼等に人生というものを教えたらよいのだろう。 10才になるバルバラ、そして9才のサンドラーここに登場する2人の間に共通するものは陽気さと純粋さ、また彼等にとってもっとも大切な両親への愛情だろう。今回私達は、つい最近そのシステム改革が行われた、スペインの最初の義務教育にあたる初等教育 La educacion Primaria を受ける6才から12才の子供達の様子を探ろうということで、彼等の生活のとある1日を共に過ごしてみた。学校教育から人格形成まで、人生の上で大切なことを学ぶ最も大切な時がこの時期であろう。 スペインに生まれた新しい教育システム 近年になって、スペインの教育システムに対し、重要な変革が行われた。この変革の大きな影響が現われたのは義務教育過程である。児童がどこで、いつ、どのようにして教育を受けるかということを知るにおいて、大切な部分である。1990年に発布、現在施行されている La Ley Organica de la educacion General del Sistema Educativo (LOGSE) によると、義務教育年数は14年間から16年間に変わり、各学年数など、全体のフォームの変革が行われている。 通常6才から12才までの学童は la Educacion Primaria と呼ばれる段階に入るが、この段階は3つの学年、それぞれ2つの学期に分かれている。この段階を修了すると、la Educacion Secundaria Obligatoria と呼ばれる教育課程で16才になるまで学ぶことになるが、志願制のこの課程も国家の補助金によって無料で受けることができる。この2つの教育課程それぞれに修了を義務づけられている単位があり、例えば初等課程での必至科目は、社会文化・自然一般、言語文学、数学、外国語、美術、体育、そして宗教である。 新しい法律の常で、この LOGSE も施行された当時、生徒親の間で大変争議を醸し出したものであった。生徒、親、そして教師というそれぞれが違った見解を持ち、各々の役割を持つ教育現場に対し、この法律はこの総合的な統一を求めるものであるからである。ヨーロッパ統一という現状下、その必要性を求められていたこの教育改革は、現在の所その成功、不成功の結果が現われ始めているところであるといえよう。 学校での1日 バルバラとサンドラ・マルティンはたった1才違いの姉妹。お姉さんのバルバラは10才で Primaria の4段階、下のサンドラは9才で3段階にいるが、どちらとも特に勉強が大変だと感じたことはない。たくさんの友達と元気よく遊んだり、また試験勉強に頭を抱えたりと1日の大半を過ごす学校の名はサグラード・コラソン校。ここに2人は毎朝仲良く通っている。2人が大好きな教科は算数、そして体育、でも音楽はあんまり好きじゃない。「音楽が嫌いっていうわけじゃないの、難しいっていうわけでもないのよ。ただ音楽の先生がしょっちゅうイエス様とか宗教のこととか話してばっかりとか、歌わされてばっかりでクラスが退屈なんだもの。」教育に関するもう1つの法律にLODEと呼ばれるものがある。これはフランコ独裁政権後間もなく施行されたもので、学校教育の民主化を目指して、私立校と公立校間の関係を調整することを目的としたものであった。サグラド・コラソン校は元来私立校であったが、現在ではその本来のカトリック校の特色を守り続けているものの、その運営は国家省庁によって管理、“まとめられて”いる。 2人は8時から8時半に起床、サンドラは早起きが得意で「時々お父さんより早く起きて、着替えてから起こしてあげるの。早起きが好きだから目覚まし時計なんかいらないわ。もちろん早起きしたくない時もあるけどね。」一方バルバラの方はお寝坊な方だが、2人とも学校に行くのは大好き。「だって家に閉じこもりっきりじゃつまんないじゃない。」9時には登校、友達と出会うのが2人の楽しみの一つ。クラスメイトはみんな友達だというけれど、「一人だけあたしたちのこと叩いたりする子がいたんだけど、先生にお仕置きされて両親も呼ばれたの。でも2人とも働きに出てるからその子のことを迎えにもこれないのよ。」バルバラもみんなと仲良くやっているようだが、中でもエリサは特別な大の仲良し。「だってすごくちっちゃい時からお互い知ってるし、一緒に話したり、遊んだりするの大好きなんだもん。」 友達と先生、たくさんの教科書と科目に囲まれて1日を過ごし、学校が終わるのはだいたい5時半頃。それから宿題をして、おやつを食べなきゃならないけど、「宿題が早く済んだら外で遊べるもんね。」ということでとにかく2人とも大急ぎで宿題を済ませてしまうんだそうだ。 自由時間 教育というもの自体学校で受ける形式的なもの、そして家族や社会から受ける非形式的なものの2つによって成り立っている。それだからこそ週末も、バルバラとサンドラにとっては大切な教育の場となる。 土日の週末は2人にとって特別な日。いつもより遅く起きてテレビのアニメ番組を見るのも楽しみの1つ。ここスペインでも日本製のアニメ番組が人気で、2人のお気に入りの番組の中にも日本のものが含まれている。他にも休日はピクニックに行ったり、映画にいったり、おじいちゃん、おばあちゃんの家に遊びに行ったりー普段は会えない家族に会うことできるいいチャンスだ。バルバラはお母さんの実家のある村にたくさん友達を持っている。「村では野原に出かけていっぱい自転車に乗るんだ。」 この姉妹はとても仲が良い。「時々はケンカしたり、お互いのことで怒ったりするけど、ほんとは仲がいいのよ。」彼女らの生活の大半、特に趣味の時間を共に過ごすのが家族。しかしいつも一緒にいるといってもそれぞれの趣味や好みは違う。バルバラの好きなことは自転車に乗ること、あんまり好きじゃないことはサッカーとベットメイキング。そしてサンドラは体育が大好きな活発な女の子だが、けっこう食べ物の好き嫌いが激しい。姉妹とはいえ、好き嫌いも、付き合うお友達も違う2人だが、将来なりたいものも全然違う。バルバラの興味は美容院とか、子供のお守りとか、モデルさんになること。「お洋服が大好きだから新しいモードのお洋服はぜんぶ持ちたいの。」一方サンドラは乗馬の大先生か、歯医者さんになるのが夢なのだそうだ。 いろんな遊び、そしてタマゴッチ 今流行りの“爆弾風船”ー水で膨らましたゴム風船で、友達とぶつけあうものー、バスケット、サッカー、かくれんぼやお友達とのおしゃべり、などがバルバラとサンドラが大好きな遊びで、この点に関しては2人ともまったく意見が合うらしい。あの爆発的なブームを呼んだ日本製のおもちゃ、タマゴッチに関しても2人とも同じ意見だ。最初、2人は買ってもらったこのおもちゃに夢中だったのだが、最近では世話する時間がないという。「学校では勉強に集中できなくなるからって、持ち込みを禁止されてるの。だから前は午前中お母さんに預かってもらっておいて、ごはんをあげてもらうようにしてたんだけど、でも今お母さんも働いてるからごはんがあげられなくって、死んだままになっちゃってるの。」多くの親がこのバーチャル・マスコットに良い印象を持っていないようだが、生き物でないにしろ、子供らが他のものの世話をすることを学ぶのに役立つのではーと考える親もいる。バルバラとサンドラの両親の場合は、特に重用視しているわけでなく、単に娘らのおもちゃの一つと考えているようだ。 |