あるば図書館
    LIBROS RECOMENDADOS


昨年以来ここスペインで静かなブームを続けているのが、1950年から60年代ー現在35才以上のスペイン人が子供だったころに出版された教科書の類の復刻版です。日本でも以前に古い教科書の復刻版が出版され、評判を得たことがありましたが、このブームを作ったのが Editorial EDAF から出版された Enciclopedia 輙varez 。発売以来長いヒットを続けていますが、今回のあるば図書館では、最近スペインの本屋さんでは特別コーナーまで作られている、この系統の本を集めてみました。

◆Enciclopedia Alvarez Tercer Grado, Antonio Alvarez (Editorial EDAF)
◆El Parovlito, Antonio Alvarez (Editorial EDAF)

これらの本を見せると必ず喜ぶのが,先程も述べたように30代後半以降のスペイン人。彼等が小学生だった時代、この1冊で国語、算数、理科、社会、なんでもござれのマルチ教科書だったのです。“アルバレス”の名で親しまれていた、バジャドリッドの教育センター長編集(さし絵まで担当)のこの教科書はフランコ政権時代約20年間、スペインの子供達がまず学校で最初に手にする書物でした。キリスト教聖書の解説で始まり、フランコ将軍への賛美で終わる内容は、当時の教育思想をかいま見ることのできる貴重な資料といえるでしょう。後者の本は、学校に行き始めたばかりの子供達のためのよりやさしい本ですが、ヘタウマな絵といい、レトロな色使いといい、スペイン人でなくともそのノスタルジー溢れる内容は新鮮さを感じます。

◆ Cartilla Escolar Antifascista, (Edicion VIAMONTE)

1936年7月に始まり、39年にフランコのマドリッド入城で終結したスペイン市民戦争の時代思想の証言者となる本がここにあります。国民の大半が文盲の農民で、そのすべてをカトリック教会に委ねていた当時、共和国側が同志の教育啓蒙のために発行した初歩読本の復刻版がこの本。実際のものはザラ紙に印刷された粗末なものだったことを想像させる印象のページ、そして Lenin, nuestro gran maestro.Todos los esfuerzos para vencer. といったメッセージを例文にして、文字の書き取りを噛んで含めるように教える内容は、その時代の啓蒙精神の迫力を感じさせます。

◆Mi mama me mima, Luis Otero (PLAZA Y JANES EDITORES)

今回紹介する本の中でも一番のお勧めがこの1冊。かなりの数の資料ー啓蒙本、ポスターチラシなどーを元に、フランコ時代の女性の社会的位置をユーモアと皮肉たっぷりに描いたルポルタージュ兼エッセーです。この手の本はとかくラディカルなフェミニストによって書かれたハイトーン、硬い内容のものに陥りがちなのですが、この本では過去の事実をよく把握しながらも、そこから一歩引いて、“お笑い系”にまとめているところ(特に写真の下のコメントが異常におかしい)が筆者の力量といえるでしょう。